シュライヒの遊びにルールはありません

子どもは、遊びを通して具体的な環境や、自然界について学ぶことができます。紙やスクリーンの2次元の絵ではなく、実物を手に持ち、視覚以外の感覚で体験し、知らないことを発見する喜びは、子どもにとって価値ある体験なのです。小さな子どもが遊びの中で、「ニャンニャン」と「ワンワン」が仲良く一緒に暮らす空想の世界を広げていたとします。現実ではありえない事でも、遊びの世界ではいとも簡単に実現するのです。やがて子どもたちが成長して「ワンワン」を「犬」と呼び、ニャンニャンを「猫」と書けるようになっても、遊びの楽しさは変わることなく、むしろ学びの源であり続けます。
 
自然界のあるがままの姿を演出することで、現実世界における健全な基盤が形成されます。しかしその「演出」は、子どもの想像力で打ち破られてしまうかもしれません。そして、そうあるべきなのです。創造力や想像力を育む上で大切なのは、例えば北ドイツにある家畜小屋が、仔牛やブタやガチョウだけのものだという考えを超えること。そこには絶対にいないはずのペンギンやナマケモノが農場で暮らす動物たちと友だちになってもいいんです。子どもたちは、ブタとペンギンが友だちになるなんて現実にはあり得ないという抽象的な認識を持つようになります。それでも、現実は現実として、それとは異なる新しい物事を学んでいくのです。それによって、楽しい遊びの中から、自由な発想が生まれ、それぞれの個性が育まれていきます。その価値を認識しているからこそ、シュライヒは動物をデザインする際に細心の注意を払い、全身全霊を傾けます。